純和風な小料理店、そこに美鈴はいる。
2児を女手一つ、ではなく夫とともに育てるも、長男は18で家を捨て上京。
スタイリスト「黒川」を名乗った。
僕は「黒川」と早朝から出かける約束していた。
電話をかけても起きない「黒川」。
softbankの女が、俺のモーニングコールを同じトーンで何度も留守番電話サービスセンターに繋ごうとする。
珍しいことではない。
彼の家まで迎えに行き、黄ばんだ角砂糖のようなインターホンを押した。
10秒もたたぬうちにドアは開いた。
「え? 誰?」と言わんばかりの、まん丸の眼を真っ赤に充血させ「黒川」が出てくる。
洗濯と乾燥を繰り返しリアルなダメージ加工が施されたグラフィックTシャツに、ボクサーパンツ。
『あ、そねさん。ちょっと待ちーや』
愛媛弁交じりでそう言い放つと、「黒川」は部屋の奥へ戻りかけた。
『あ 』
なにかに気がづくと、ボクサーパンツに片手を突っ込みながら、キレイに布で包まれた重箱のようなものを僕に差し出した。
『これ、かぁーちゃんから』
ちょっと前振りは長くなりましたが、スタイリスト黒川のお母様より、手作りのお菓子を頂きました!
お菓子作りにハマっているとは黒川から聞いていましたが、プロ級のその腕前にマジでビックリ!
見た目にもキレイで、マジメな話、売れそう。
黒川のお母様。
本気で美味しいです!!!